介護保険法の改正案で事業連座制を見直す

介護事業でコムスンが2か所の事業所で、職員の数を水増しして介護事業の指定を不正に受けていた事件が発覚したことから、6月に厚生労働省が連座制を適用して、事業所の新設と指定の更新を全国一律に認めないとする処分をしました。

この処分でコムスンは介護事業から撤退し、介護を利用している人や介護ヘルパーの間に混乱が生じたため、厚生労働省は複数の県にまたがっている介護事業者の規制を見直す方針を固めました。

具体的には、連座制の仕組みを不正な行為を組織的に関与したかどうかの有無や地域での実情に応じて、それぞれの自治体が判断できるようにするものです。組織的な不正が行われていると疑われる場合は、介護事業者の本部に厚生労働省が直接、立入調査を行い是正の命令を出し、介護事業所の新設や指定の更新を認めないよう自治体に勧告したりする仕組みになります。

同じグループ会社に事業を移して処分を逃れようとした場合には、自治体が新たな指定の申請を拒否できるようになります。厚生労働省は、次の通常国会に介護保険法の改正案を提出する方針です。

今回の改正案を見ますと自治体の裁量権が大幅に増えますので、地域ごとのきめ細かい判断ができるのではないかと思います。それと自治体同士の連携や情報交換の重要性が一層不可欠となっていくものと思われます。