介護保険の給付費用の抑制で監視を強化・厚労省

介護保険の給付費用の抑制や不正請求を防止するために、厚生労働省は介護保険を運営する自治体の監視を強化すると発表しました。介護の必要度を決める要介護認定が適切かどうかの事後の点検や介護保険利用者に介護の利用明細を通知する措置など8項目の実施を新たに自治体に求めることにしています。項目ごとに実施率の目標値を定めています。介護給付費用の監視体制を2010年度をメドに全自治体で実施する方針を打ち出しました。

介護給付費用は高齢化の進展で年々増え続けていまして、2006年度の給付費は6兆4345億円と、介護保険制度を導入した2000年度の1.8倍になっています。介護給付費用の不正請求も後を絶たず、06年度末までに事業所の指定取り消し件数は478件にも達しています。厚生労働省は介護給付費用の給付の事後調査をさらに徹底することで不正な請求を防ぎ、介護給付費の抑制につなげたい考えです。

厚生労働省は医療保険介護保険の両方を利用する世帯の自己負担が重くなりすぎないよう、合計額に上限を設ける新制度の詳細をまとめました。負担限度額を年齢や所得に応じて7段階に設定しました。負担限度額は69歳以下で現役並みの所得がある世帯は年126万円、75歳以上の人がいる一般所得世帯では56万円、最も年齢が高く所得が少ない世帯は年19万円に抑えています。利用者の負担が減る一方、高齢化で該当する人が急増すると財政の負担がますます増す可能性があります。