介護保険の構造的限界 ― 続・コムスン不正請求!

介護保険で平成18年12月の「コムスンの不正請求」からこの平成19年4月の「介護大手3社・不正発覚」の報道に、介護保険を利用している高齢者の方は大きな衝撃を受けると思われます。介護を必要とする人を食い物にする悪徳業者と思いたくなります。しかし、そこしか頼る所がない高齢者の方は複雑な心境と思われます。

介護保険の不正は厳しく取り締まる必要があります。今、何故この時期に、これほど多くの不正が発覚したのだろうか。

東京都は「介護保険は性善説が前提」といっていますが、介護保険制度の運営は営利目的の民間企業の参入が前提になっており、不正請求の可能性は当初から想定されていたはずなのであります。行政が介護保険の不正に対してどのようなチエック機能があったのか問われるところであります。

厚生労働省は広域的に事業を展開する訪問介護事業者について、指定虚偽申請で一斉に監査するよう全都道府県に通知しました。厚生労働省が一斉に監査を指示することは、介護保険制度が始まって以来、初めてのできごとです。厚生労働省は、都道府県に給付適正化の事業計画の作成を求めるなど、対策の強化を図ろうとしています。現在の介護保険財政の困難を克服するための規制強化にも見えます。そこには介護保険を利用する高齢者の姿はまったく見えてきません。