75歳以上「在宅中心の医療に」…社会保障審議会

 社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の特別部会は29日、75歳以上の「後期高齢者医療のあり方」の原案をまとめた。現在は長期間の入院生活を送ることが多い高齢者が、家庭や地域で人間らしい生活を送れるように「在宅医療」重視を打ち出した。

 具体的には、地域の開業医が歯科医、薬剤師、看護師らとチームを組み、高齢者を総合的にケアする体制の構築を求めた。

 原案は、75歳以上の高齢者の特徴として、
〈1〉複数の疾患があり、認知症など心のケアも必要
〈2〉複数の医療機関を受診する傾向がある――と分析した。

 そのうえで、複数の疾患を総合的に診察できる医師が往診する態勢の整備や、介護保険のケアマネジャーらと連携し、医療と介護の一体的なサービスの提供を求めた。

 2008年度には、75歳以上の高齢者を対象とする新しい医療保険制度がスタートする。厚生労働省は、新制度に合った新しい診療報酬をまとめ、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)が07年末に決定する08年度の診療報酬改定に盛り込む方針だ。

 具体的には、高齢者の外来診療の一部に、投薬や診察回数に関係なく診療報酬が一定額となる「定額払い制」の導入などを検討する。在宅医療が増え、入院期間の短縮などにつながれば、医療費適正化の効果があると見ている。

読売新聞 - 2007/3/29