訪問看護ステーション、全国最少返上へ助成制度 県、50施設を目標

 富山県は新年度、全国で最も設置数が少ない訪問看護ステーションの増設を促すため、新規開設に対する助成制度を創設する方針を固めた。

 現在の三十五施設を五十施設に増やす考えで、県内では訪問看護などの在宅サービスより介護保険施設に頼る傾向が強いことから、「施設偏重」の改善を目指す。新年度当初予算案に助成費三百万円を盛り込む。

 日本訪問看護振興財団(東京)の二〇〇六年四月時点の調査によると、県内の訪問看護ステーションは三十四施設、人口十万人当たりでは三・〇六施設と、いずれも全国最下位だった。〇六年七月に一施設が増えたが、全国最下位の状況に変わりはない。

 これに対し、厚生労働省の〇四年十月時点の調査によると、介護老人福祉施設介護老人保健施設介護療養型医療施設を合わせた介護保険施設で、県内は六十五歳以上の人口千人当たりのベッド数が全国二位となっており、在宅ケアより介護保険施設を利用する傾向が目立っている。

 一方、〇四年度の県民世論調査では、介護が必要になった場合に六割近くの人が「自宅での生活を続けたい」と回答した。県は、こうした現状から「在宅ケアの要(かなめ)」(県厚生部)である訪問看護ステーションの増設に乗り出すことにした。

 新たな助成制度では新年度、訪問看護ステーションを新設する二法人を対象に、車両やパソコンなど設備整備費として上限百五十万円を助成する。制度の利用が順調だった場合は〇九年度以降、助成枠を拡大する。

 県は策定中の新総合計画の答申素案で、人口十万人当たりの訪問看護ステーション数を、一五年度までに全国平均の四・六八施設に近い四・五施設とする目標を掲げている。五十施設になれば目標に到達する見込みで、県厚生部は「一五年度よりも早い段階で達成したい」としている。

北國新聞 - 2007年2月15日